注目を集める中高年サラリーマン
最近は大企業の中高年リストラ記事をよく目にします。
ボク自身も中高年を雇って仕事をしている立場なので、他人事とは思えません。
しかし、これは日本に限った話ではなく、世界的な潮流でもあります。
ただ他国と比較すると日本は高齢化社会が進んでているため、嫌が上でも目立つのだと思います。
そんななか大前研一氏によるリカレント教育に関する提言の書が出たので読んでみました。
リカレント教育とは、働き出してから知識やスキルを改めて学び直すことです。
教養を身につけるだけの学びでもいいのですが、大前さんらしく、この本は食っていくためのリカレント教育を取り扱っています。
本の副題の「誰にも頼れいない時代に就職してから学び直すべき4つの力」からもその視点が読み取れます。
自律の必要性を説いた本とも言えます。
本書を読んでみて
本書を読んで理解できた事のひとつに「日本はリカレント教育後進国」であるということです。
リカレント教育が進んでいる海外では、学んで、働いて、また学んで、働くと繰り返すようになっています。
これを著者は「マルチステージ型」と呼んでいます。
一方、日本は単純な3フェーズ(教育、勤労、引退)から成り立っている「単線型」社会となっています。
したがって、日本は新しい知識やスキルが受け身では身につかない社会になっているとも言えます。
これは実感しています。
ボクも多くの50代以上の方と仕事をするが、新しい事に興味を示しません。
テレビや新聞の情報を鵜呑みにしている程度です。
新しいスマホアプリを使ってみたり、プログラミングを勉強したり、Airbnbを使って海外渡航したり、MOVやDiDiなどタクシーアプリを使って配車してみたり、なんのリスクもないことにも興味を示す方が非常に少数です。
つまり一回学んだからそれで永遠に食っているけるという思っているので、自ら学ぶという意識がないのです。
長寿国となった日本では、年金をあてにした老後は期待できません。
本書に以下のように書かれています。
『年金制度がスタ ートした1960年代は 、一人の高齢者を11人の現役世代 (20 ~64歳 )が支えていたが 、今は一人の高齢者を2人の労働者が支えている状態である 。今後さらに年金受給者が増えていけば 、現在の年金制度を維持できるはずがない 。デモグラフィ ー (人口動態 )を見ると 、2007年生まれの日本人の半数が107歳に達すると予想される 。20世紀の日本人の平均寿命が80歳程度だったことからすると 、定年退職後の余命は今の倍程度になる計算だ 。』
また著者は同一労働同一賃金についても異をとなえている。
『労働者の雇用や権利をひたすら守り 、休暇を増やして給料を上げるだけでは 、労働コストの安い新興国などに 、二一世紀の仕事はすべて奪われてしまう 。』
このままでは、日本は専門性なきホワイトカラーが溢れてしまう。
単純成長の時代は、自分の経験を後輩に教えるだけですんだけど、受け身の姿勢では、いまの勤務先に再雇用されて、誰でもできる事務的作業に従事するしかない。
それとて、将来敵にはAIやRPAにとって代わることになるかもしれません。
そうなると本格的に会社のお荷物となってしまう。
そうならないためにも「稼ぐ力」をみにつけるしかありません。
本書では稼ぐための具体的なスキルが紹介されています。
全世代に共通して必要とされるスキルは「問題解決力」と「ソフトスキル」。
一般社員はハードスキル(IT、ファイナンス、マーケティング、統計)
中間管理職はソフトスキル(リーダーシップ、コミュニケーション(英語))
経営層は構想力。
これらが必要なスキルとされています。
ではそれはどうやって身につけるのか。
残念ながら、本書は個人向けというより、マクロ目線で経営者に向けて書かれているので、詳細は書かれていません。
具体的には『50代からの「稼ぐ力』に記されているようである。
そちらも読んでみようと思う(この辺マーケティングはうまいなぁと感心する)
まとめ
最後に著者は日本人がダメだとか、中高年がお荷物だとか言っているわけではありません。
むしろエールを送っています。
たとえば、40年代から50年代は社内起業に最適だそうです。
会社や営業での経験も十分にあり、新しい発想を注入すれば、実現性の高いプランを考えることができるからだと。
ボク自身もそう思います。
これから行くべき先や姿が見えている人(企業)なんていません。
受動的な姿勢でも生涯食っていけた時代は終わったと受け入れ、積極的に現場に足を運び、見て、経験を通じて最適化していこうと再認識できる内容です。