Vol.1の記事では返報性と一貫性を、Vol.2では社会的証明と好意について紹介してきましたが、Vol.3では影響力のカテゴリー第5の権威、第6の希少性について解説します。
※画像をクリックするとAmazonへ飛びます。
権威
文字通り権威のあるものに従ってしまうという原理です。
それは人間社会の組織が権威のシステムで構成されているからで、私たちはそれに従うように教育されてきたからです。
ある意味それで社会の秩序を保っているところもあります。
したがって、私たちは権威を前にすると深く考えることはせず、単に反応するようになります。
そして、私たちは実体を見ることなく、権威の単なるシンボルに反応するのです。
特に効果のあるシンボルは次の3種類です。
- 肩書
- 服装
- 自動車
うーん、確かに思いあるフシがあります。
特にそれが顕著に現れるのが「医療」だそうです。
最近でこそようやくセカンドオピニオンという概念がありますが、一昔前はお医者さんの言うことは絶対でした。
それを取り扱ったのが、山崎豊子著「白い巨塔」です(小説もドラマも大好きです)。
※画像をクリックするとAmazonへ飛びます。
セールスでは肩書と服装は使えそうです。
肩書について商品そのものの肩書がよく使われています。
「特定保健食品」や「宮内庁御用達」、「ミシュラン星いくつ」などが典型例です。
服装も、だらしないよりは、きっちりした服装の方がお客さんの反応も違います。
とりわけ高額商品を扱う場合には、その傾向が顕著にあらわれます。
防衛方法の質問
権威の影響から身を守るためには次の2つの質問を自分に投げかけることが有効だそうです。
- 「この権威者は本当に専門家だろうか」
私たちの注意を権威のシンボルからそらし、権威者の地位を示す証拠への向けます。
- 「この専門家はどの程度誠実なのだろうか」
その状況における専門家の知識だけでなく、彼らの誠実さも考慮すべきだと私たちに教えてくれます。
希少性
機会を失いかけると、その機会を価値あるものとみなす原理です。
手に入りにくくなるとその機会がより貴重なものに思えてくることは誰しも経験しているでしょう。
あるものを手に入れる時よりも、それが失われてしまう時の方が、より強い影響力を受けます。
これは、そもそも人の脳の仕組み自体が「損失」から守るために進化してきたことによるようです。
私たちは本質的に自由を求めるようにできていて、その自由を制限されたり脅かされたりすると、「反発(リアクト)」といって、その自由をより強く求めるようになります。
セールスでは、数量が限定されている、あるいは時間的に制限があるといったアプローチが有効です。
数量限定は、バーゲンでよく見かけます。
「残りあと◯個だけです」とか「今回の販売は◯個だけです」といった宣伝文句です。
時間制限では「今月限りのキャンペーン」とか、テレビ通販の番組終了後30分までは特別価格で販売というお決まりのパターンがわかりやすいと思います。
まとめ
『影響力の武器』に関する書評を3回にわたってお送りしてきました。
本書を読んで、ふだん自分がいかに短略的に意思決定をしていることが理解できました。
これだけでも大きな収穫です。
おすすめの1冊です。
<関連記事>
https://koshiyan.com/archives/1511 https://koshiyan.com/archives/1536