今回紹介する書籍は、伊賀泰代さんが書いた『採用基準』です。
伊賀泰代さんは、コンサルティング会社のマッキンゼーで12年間に渡り採用業務を担当されていた方です。
マッキンゼーというとコンサルティング会社のなかでもトップ中のトップで、東大をはじめとする有名大学生による就職希望先の上位にランクされている人気企業です。
当然採用基準も高く、人選には様々な工夫されているのではないかと期待して拝読させていただきました。
内容はリーダーシップの教科書
内容はいい意味で期待を裏切られました。
もちろんタイトルである採用基準についても触れられていますが、なによりリーダーシップにかなりのページが割かれており、さながらリーダーシップの教科書のようです。
目次の第1章を除く第2章から終章(第8章)までの章のタイトルすべてに「リーダー」というキーワードが含まれていることからもおわかりいただけると思います。
序 章 マッキンゼーの採用マネジャーとして
第1章 誤解される採用基準
第2章 採用したいのは将来のリーダー
第3章 さまざまな概念と混同されるリーダーシップ
第4章 リーダーがなすべき4つのタスク
第5章 マッキンゼー流リーダーシップの学び方
第6章 リーダー不足に関する認識不足
第7章 すべての人に求められるリーダーシップ
終 章 リーダーシップで人生のコントロールを握る
思考力とは
マッキンゼーのコンサルタントには高い思考力が求めれていますが、その思考力を構成する3つの要素が紹介されています。
- 思考スキル
- 思考意欲
- 思考体力
このなかでも思考スキルは後々学べるものなので、面接時には重要視していないとのこと。
思考意欲は、考えるのが好き。
思考体力は、考え続けることができる力。
この2つは先天的とは言わないまでも、採用後に教えることが難しいので、面接時に備えているかどうか確認されるそうです。
スパイク型人材
マッキンゼーでは、ある一点において卓越したレベルにある人はスパイク型人材と呼ばれ、能力が均等に高い優等生型人材よりも高く評価されるそうです。
というのもスパイク型人材は勝負できる強みがあるので、難局でもリーダーシップを発揮して乗り切れるそうです。
リーダーがなすべき4つのタスク
- 目標を掲げる
- 先頭を走る
- 決める
- 伝える
4つのなかでも特に「決める」ことは誤解されていることが多く、リスクを恐れて情報が揃わないから意思決定せずタイミングを逸するということは日本企業によくあることです。
不確定要素がある状態でも機を逸することなく意思決定できるのがリーダーです。
グッときた言葉
『「問題の解が見つけられること」と、「問題が解決できること」はまったく次元が異なります』
これは第1章に書かれている一文です。
解決方法がわかったとしても、それを現実に実施にしていくためには、人の痛みを理解したり、様々な交渉をうまく乗り切ったり、経営者の伴走者になったりと様々な活動が伴い、当然、壁や問題も発生します。
それを乗り越えるためにはリーダーシップが不可欠です。
まとめ
本書を読みまでは、クライアントの問題を解決するコンサルタントに必要なスキルは問題解決スキルだと思っていました。
しかし、本書を読んで、現実に問題を解決するのは、問題解決スキルではなくリーダーシップであるという認識に変わりました。
これは採用基準という名のリーダーシップ教科書で、一読の価値ありです。