『影響力の武器』は、メンタリストDaigoさんも超オススメしていて、この本がなかったら人生が変わっていたかもというほどです。
2014年の発売以来いまなお売れ続けているロングテール書籍です。
大型書店に行くと今でも平積みされています。
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約500ページ近くあって、かなり読み応えがあります。
左『7つの習慣』、右『影響力の武器』で、ほぼ同じくらいの厚みがります
もちろん内容もかなりの厚みがあります。
この本は文字通り「影響力」というものを身につけて、それを「武器」として使い、人間社会を生き抜くためのテクニックが豊富な事例を交えて紹介されています。
また、「なぜ、人は動かされるのか」というサブタイトルからもわかるように受け身、自分が他者から影響力を行使されて、不利益を被らないようにする防衛の視点でも書かれています。
本書によると、影響力を理解して駆使できるようになると、操っているように見せずに相手を操ることができるようになります。
しかも相手は操られていると気づかず、自分の意思で決めたと思ってしまう。
こうなってしまう背景には、複雑な現代社会環境があります。
複雑な社会に身を置く私たちは「考える」ことが面倒になって、そこから逃避するようになりました。
そうなると固定的で自動的な行動パターンを取るようになり、たとえば、高額なもの=良質なもの、とよく考えることをぜずに単純に置き換えてしまいます。
「思考の近道」を求めるようになった私たちの固定的で自動的な行動パターンとして、本書の冒頭に「コントラストの原理」が次のように紹介されています。
二番目に提示されるものが最初に提示されるものとかなり異なっている場合、それが実際以上に最初のものと異なっていると考えてしまう傾向がある。
引用:本書「第1章 影響力の武器」
単に10kgの重りを持つのと、最初に5kgの重りを持ってから10kgの重りを持つと後者の方が重く感じます。
セールスでは高価な商品を先に見せることで、そのあとの商品を安く感じさせるというセオリーがありますが、あれです。
私たちは無意識に実際以上に感じてしまっています。
このようなテクニックがふんだんに紹介されています。
では内容を紹介しましょう。
影響力が6つのカテゴリー
本書では影響力を6つのカテゴリーに分類しています。
- 返報性
- 一貫性
- 社会的証明
- 好意
- 権威
- 希少性
ボリュームが多いので、本記事(Vol.1)では「返報性」と「一貫性」について解説します。
影響力その①:返報性
人は親切にされたり、贈り物を受け取ると将来お返しせずにはいられない気持ちになります。
それが「返報性」です。
これはわかりやすい。
年賀状が届いたので、こっちも出さないといけないと思う。
接待を受けたら、仕事で返さないといけないと思う。
コンビニでトイレを借りたら何か買わないといけないと思う。
それが返報性です。
日本語の「すみません」は「これで終わりません」という「お返しをする」という意味があるそうです。
たた、返報性は日本社会に限ったことではなく、世界共通のルールになっています。
ギブアンドテイクです。
注意しなければならないのは、この返報性のルールを悪用する人が相手ではフェアバリューとはならなず、不公平な交換を引き起こしてしまいます。
本書では、故障した車を修理してくれた人から少し車を貸してくれと頼まれたので、お返ししないとという思いで、車を貸したら壊されたという事例が紹介されていました。
この事例などはまさに不公平な交換に該当します。
返報性を心理的に理解している女性は男性からの高価なプレゼントを断ったりします。
もらってしまうとお返ししなければならなすなるからです。
下心がないことが下心。
ビジネスでも先に与えると、忘れた頃にお返しがあるかもしれません。
影響力その②:一貫性
人には自分の決断を正当化したいという性質があります。
自分がすでにしてしまったことと一貫していたいという欲求です。
そうしないと性格に問題があると思われてしまうと思い込んでいるからです。
「さっきと言ってることが違うやん」と言われないように。
ギャンブルでは賭ける前より賭けた後の方が、勝率を高く見積もる。
選業では投票した候補者の当選確率を高く考える。
すべて「一貫性」に基づくものです。
支離滅裂、表裏がある、頭がおかしいと思われないように。
フット・イン・ザ・ドア・テクニック(段階的要請法)はこのルールの応用です。
小さなイエスを積み上げると、いずれ大きなイエスとなるいわれるものです。
セールスでも、まずは小さな注文を取り、そこから商品全体へ展開していく。
まとめ
「返報性」にしても「一貫性」にしても新たな発見というより、「あぁたしかに」「そうそう」という気づきに近い感覚です。
それだけ一般社会で知らず知らずに使われている内容だったんだとあらためて認識できました。
それを体系だって理解することができます。
本書『影響力の武器』はそんな影響力を学ぶことができる影響力のバイブルとも言えます。