もっと自由な働き方をしたいのでフリーランスになろうと思っています。メリットとデメリットを教えてほしいです。
今回はこのようなご要望にお答えしたいと思います。
フリーランスとは
フリーランスとはなにか。
なんとなくイメージはもっているけど、なかなか言葉にして具体的に言うとなると難しいものです。
困ったときのWikipediaによると「特定の企業や団体、組織に専従しておらず、自らの技能を提供することにより社会的に独立した個人事業主もしくは個人企業法人である」と書かれています。
実際には法人をつくらず個人事業主として届けも出していない、まったくの個人のフリーランスの方も多くいますね。
定義のポイントとしては、
- 組織に属さない
- 自分の技量で仕事をする
ということになるのでしょう。
もとは中世の有力者に仕えた兵士や騎士をフリーランスと呼んだことからきているらしいですが、近世以降は争い事も減って、「組織から距離を置いて働く」ことを指す言葉に変わっていったようです。
こうやって語源を辿ると、組織に属さず単身で戦いに挑む兵士というイメージでなかなかカッコいいですね。
このフリーランスは、現代の新しい働き方として選択する人が増えています。
その背景は以下のようなことにあると思います。
- ネット環境が整い、どこでも仕事ができるようになった
- クラウドサービスによって様々なサービスが安価に使えるようになった
- ワークライフバランスの浸透によって、個人が新しい働き方を求めるようになった
- 働き方改革によって様々な働き方が社会全体で許容されるようなった
- これまで以上に専門性をもったプロジェクトや業務が求められるようなった
- SNSで自由な働き方をする人に接する機会が増えた
フリーランスと個人事業主の違い
フリーランスと個人事業主はよく似ていますが、厳密には同義ではありません。
上記でも述べたとおりフリーランスは雇用されず案件ごとに契約を結んで仕事をする働き方のことです。
一方、個人事業主は税務署に開業届を提出し事業を行う人のことで、広義の意味のフリーランスに含まれます。
ほかにも節税のために法人化しているが、ひとり親方会社(社長一人)で働き方はフリーランスという人もいます。
ちなみに、個人事業主とは、個人で何かの事業をするという意味で、よくアンケートなどの職業欄にある自営業もこれに該当します。
株式会社を設立することに比べると事業をしていくためのコストが安いというメリットがあります。
たとえば、個人事業主の場合、所得税を支払うので利益がなければ、税金を支払う必要はありませんが、法人の場合、赤字でもで年間数万円(法人住民税の均等割)を支払う必要があります。
僕の場合は会社勤めの時からコンサルティングをしていたので、独立後の売上がすこしは見込めていましたが、まったく売上を見通しがわからないという方は個人事業主からスタートされることをおすすめします。
メリットとデメリット
フリーランスは、よくもわるくもすべてが自己責任です。
どんな働き方でも同じですが、フリーランスにもメリットもあればデメリットもあります。
ここでは、フリーランスという働き方を客観的に評価してみましょう。
メリット
- 自由な働き方ができる
会社の業務命令とは違い、嫌な仕事は断ることができます。
いつ、どこで、誰と、どれくらい、どのように働くかのすべてを自分で決めることができます。
- 納得のいく収入が得れる
サラリーマンのように自分の収入を他人に決められることなく、自分で納得する(納得せざるをえないw)収入が得れます。
収入の上限はなく青天井です。
ガンガン働いて収入アップすることができます。
休みを多くとって、仕事はほどほどで収入もそこそこということもできます。
- ダイレクトに評価される
クライアントから受ける評価も個人に対するものになります。高い評価を得れれば、それだけ充実感も高まります。
- 長期間現役で仕事ができる
定年がありません。クライアントに求められ続ければ、自分が気のすむまで働き続けることができます。
デメリット
- ついつい働きすぎてしまう
勤務時間が決まっているわけではないので、ついつい働きすぎてしまいます。
特に開業して間もない頃は、手の抜き方がわかっていないので過剰労働してしまう傾向にあります。
働き過ぎて体調やメンタルを壊してしまわないように自己管理が大切です。
- 労働法規が適用されない
企業に雇用されていないので、「労働基準法」などの労働法規が適用されません。
「最低賃金」もなければ「労働災害による補償」もありません。
ちなみに、フリーランスは雇用保険や労災保険の労働法規が適用されません(ただし「下請法」によって一部保護される部分はあります)。
- 事業のすべてを自分で行わなければならない
サラリーマンでは仕事の範囲が決められていましたが、フリーランスにはそのようなものはありません。
範囲がないということは、逆に言えば、見込み客の発掘から、営業、プロジェクト管理、経理、その他の雑務をすべて個人でこなることなります(もちろんアウトソーシングすることも可能ですがコストがかかります)
フリーランスとしての専門領域とは別に、さまざまな管理能力が必要になります。
フリーランスに適している職種
フリーランスといえば、かつてはカメラマンやライター、デザイナーなどもともと個人色が強い職種のイメージがありますが、いまやどのような仕事でもフリーランスになれる可能性があります。
自分の経験や専門技能を活かして仕事を行うのであれば、職種に関係なく、誰でもフリーランスと名乗ることができます。
フリーランスへの準備【環境編】
- スキルアップ
仕事の内容や働き方が細分化しつつある時代だからこそ、自分の強みを活かすためのスキルアップは必須です。
まずは自己のスキルの棚卸しからはじめましょう。
- これまでにどんなキャリアを積んできたのか
- どのようなスキルを有しているか
- どんな仕事にチャレンジしたいか
そしてフリーランスとして簡単なセルフポートフォリオを作成しておきましょう。
- 人的ネットワークの構築
セミナーやコミュニティ、勉強会・交流会などに積極的に参加して、人的ネットワークを築いておきましょう。
のちのち様々な案件やプロジェクトをすすめるうえで、知識や技術を補い合える人的リソースはなにものにも代えがたいものになります。
そして、単に人的リソースだけではなく、仲間がいるとフリーランスで生きていくうえでの仲間がいると心強い支えになってくれます。
- 環境づくり
フリーランスで事業を始めようとすると、サラリーマン時代には会社が準備してくれていたパソコンやネット環境、パンフレットなどの営業ツールなどはすべて自分で準備しなくてはなりません。
事務所はもとより、名刺や印鑑(契約書や請求書に必須)、経理ソフトなどのオフィス用品も必要です。
- ローンやクレカの契約
残念ながらサラリーマンに比べるとフリーランスの社会的信頼は低いと言わざるをえません。
とりわけ金融機関からは厳しい現実が突きつけられ、借りられる金額や金利は大きく変わります。
サラリーマン時代にローンやクレジットカードを契約しておくことをおすすめします。
フリーランスへの準備【手続編】
- 健康保険
健康保険の切り替えは自分でおこなう必要があり、この手続が遅れると、病院に行ったときに全額自己負担になります(あとで返金されますが)。
フリーランスになった場合、国民健康保険へ加入するか、サラリーマンだった方であれば最大2年間、勤め先で加入していた健康保険を任意継続することができます。
どちらの方が支払金額を安くできるかは市区町村によっても異なりますが、会社の健康保険を任意継続する場合は退職後20日以内の申請が義務づけられていますので、できるだけ早めに確認して手続きを済ませましょう。
あと職種による団体保険組合があります。
- 年金
加入する厚生年金から国民年金へ自動的に切り替わるわけではありません。
年金についても自分で手続きをする必要があります。
- 開業届
法人であれば法務局ですが、フリーランスの場合は税務署へ開業届を提出することになります。
提出は開業後1ヶ月となっているので遅れないようにしましょう。
- 青色申告承認申請書
青色申告特別控除や赤字の繰越といったメリットがあるので、必要に応じて「青色申告承認申請書」を税務署へ提出します。
開業後2ヵ月以内なので、開業届と一緒に提出するといいでしょう。